20代前半の頃、今から20数年前京都でタクシードライバーをしていたことがあります。その当時の印象に残っている出来事やタクシー運転手の待遇、給料、人間模様の話です。
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タクシードライバーになった経緯
大型二種免許を持っていたのでバスの運転手の仕事を探していました。
バス会社は色々入社試験受けたんですが受からずお金もなかったので沢山募集があったタクシー運転手に応募してみることにしました。
一社目はMKタクシーを受けてみましたが落ちました。二社目は別の京都市内の会社。その会社の入社試験は至って簡単、履歴書と免許を持って面接にいったら合格でした。
給料、待遇、勤務時間
待遇は京都市内で社員寮付きで税金、保険、寮費などを引かれた手取りの収入は12,3万だったと思います。基本給プラス売上に対していくらかが自分の報酬になる歩合給でした。ガツガツ頑張らない派の僕にとってはかなり安い給料でした。
当時バブルはとっくの昔に過ぎ去りすでに稼げる仕事ではありませんでした。バブル時代を懐かしむ古株の運転手の話が印象的でした。
それでも自分で営業をし固定のお客を持っていたり効率的に走って沢山稼いでいる運転手もいました。
勤務時間は交代シフト制で2勤1休だったと思います。一回の勤務が休憩入れて10~12時間くらいでした。
タクシードライバーの一日
一週間ほど注意点、料金の精算マシーンの使い方、無線機の使い方、主なルートの紹介などの簡単な研修がありました。
当時タクシーにナビはついておらず紙の地図帳をいつも持っていました。初めの頃は道を覚えるまで結構苦労しました。
今はカーナビがあって便利ですね。道わからなければカーナビに入力してスムーズにお客さんを目的地に連れて行ってあげられそうです。
研修が終わるとすぐに勤務スタートです。
朝は会社近くの寮から制服を着て出社し社内にある両替機で両替をして釣銭用の小銭と札をある程度準備します。自分が担当する車の点検をして乗り込みLPガスを敷地内にあるスタンドで充填してもらい出発です。
いつも乗る車は決まっていたのですがクラウンのマニュアルシフト車でした。
どこでお客を乗せるのかいつ休憩するのか全て運転手任せです。
お客さんが乗っていない間は自由なので気楽でいいです。ぼくはあまり上手くできませんでしたが効率よくお客さんを乗せて走ればたくさん稼ぐこともできたと思います。
会社からはできるだけ市内を走り回ってお客さんを探すように言われていました。
私の場合は初めてのタクシードライバーということもありまずは会社のおすすめ通り市内を色々走りまわってみることにしました。
その後慣れてくるとずっと走り回るのは疲れるので利用者が多い駅や病院などで待っていることも多かったです。
あとはタクシーには無線機が付いていて会社からお客さん依頼の無線が入り近くを走っている車が無線をとり指定の場所へ向かうという方法もありましたが無線は地理、住所、店名に詳しいベテランドライバーがすぐにとりなかなかとることができませんでした。今ならスマホで呼べるタクシーアプリなんかもあるので当時とはまた違った感じなのかなとは思います。
昼間は市内を走りまわる「流し」、駅、病院、スーパー、観光名所などのお客さんが多く、夜になると繁華街へ向かうお客さん、深夜になるとそこから酔っ払いをのせて駅や自宅へ向かうことが多かったです。
お客さんを乗せて目的地で降ろすと料金を精算しその都度運行日報のようなものを記入します。
深夜勤務を終えて会社に帰ると車を清掃します。洗車機に入れきれいに拭き取り、中もきれいにします。そのあと売り上げを機械に入れ集計してその日の勤務終了です。
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人間模様
タクシーという狭い空間でお客さんと運転手だけ。時には二人っきり。おそらく電車やバスの運転手ではここまで個人的な人間模様が観察できることはないかもしれません。
今でも何人か強烈に印象に残っているお客さんがいたので紹介します。
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料金踏み倒しおばさん
その日は着物の展示会が京都市内のある大きな会場で行われていました。
その会場前から40歳代くらいの女性4人組を乗せました。
私「ご乗車ありがとうございます。どちらまでですか?」
客A(リーダー格)「京都駅まで」
私「京都駅までですね。ありがとうございます。」
ほんの10分くらいで京都駅に近づいてきて京都タワーなどが見えてきました。
そこで、
客A「なにここ?京都駅やんか!?わたしら京都駅なんか言うてへん。四条烏丸言うたやん。」
京都駅から四条烏丸までは少し離れていて車で5分くらいかかります。徒歩なら20分以上かかります。
私「( ゚Д゚)!?」「え???京都駅と伺いましたが。もうすぐ着きますよ」
客A「そんなこと言うてへんやんな?( ̄д ̄)
リーダーAはBCDに同意を求めます。
客BCD「言うてへん。言うてへん」Aに同意するその他3人。
客A「四条烏丸行って」
急いで行先を変更し四条烏丸へ向かい五分ほどで到着しました。
私「料金はOOOO円です」
客A「間違ったとこ連れて行って料金とんの?」
私「( ゚Д゚)!?」「OOからOOまでですのでOOOO円となります」
客A「あんた最悪やな。あんたの会社電話するわ」
そう言って客Aは自分の携帯で私が勤めるタクシー会社に電話し始めました。
電話で「運転手が悪徳で料金をぼったくろうとしている」とわめいていました。
その後携帯を私に渡しました。
電話口の上司「だいち、あきらめろ~~(ーー゛)」
なにもかも悟ったかのような落ち着いたトーンで諭されました。
かくしておばさん4人組は着物展示会場から四条烏丸までをタクシーを無料で乗りこなし颯爽と消えていきました。
何かから逃げる男
深夜京都の繁華街で中年の男を乗せました。
小走りで繁華街のネオン街からなにかおびえた様子で時々後ろを気にするように車に慌てたように乗り込んできました。
男は乗るなり「行って」
私「どちらまで?」
男「ええからとりあえず前進めや」
私はそのまま車を進めました。目的地不明のまま。
これはやばい客を乗せてしまったのでは。山奥に連れていって金品を奪い取る強盗か。事件なのか。
様々なことが頭を巡ります。
恐怖とともに
((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
15分くらい走って暗い住宅地まで来たところで
男「ここでええわ」
きっちり料金を払い闇へと消えていきました。
あ~怖かった~
ε-(´∀`*)
家出少年
その日は京都駅のタクシー乗り場でお客さんを乗せようと順番を待っていました。
夕方で人通りも多くかなり込み合っています。
駅から出てきた人が次々にタクシーに乗り込んでいきます。
まもなく自分の番です。
あと一台でお客さんが乗り込んできます。
ふと前のタクシーを見ていると少年が乗り込もうとしましたがどうやら運転手が乗車拒否をしたようで乗ることができずに一台後ろの自分のタクシーに乗り込んできました。
少年は見た感じ中学生くらい。
身長は150cmくらいでしょうか。
みなりも普通の少年で怪しい感じはしません。
大きな荷物もなく旅行者でもなさそうです。
私「ご乗車ありがとうございます。どちらまで?」
少年「武生(たけふ)」
私「福井県の武生?!ですか?( ゚Д゚)」
少年「そう武生まで」
私「ここからですと料金が2万円以上で時間も電車のほうが早いですよ。京都駅から電車なら5000円くらいで行けますが」
少年「武生までお願いします」
私はこれはまたやばい客なのではとか、お金持ってないパターンなのではと色々考えましたが
ま、どうせ京都市内でぐるぐる走り回っても面白くないし給料も安いしイチかバチか行ってみるかと思い少年を乗せて京都駅から福井県の武生まで行くことになりました。
走り始めて滋賀県に入り夕方から夜へ。下道では時間がかかるので高速道路に乗っていいか少年に尋ねるといいとのことだったので途中から高速道路へ。
途中少年は独り言のように身の上話をしていました。
その都度私は道中長くてヒマなのでわりと真剣に聞いてあげていました。
ひととおり少年が話を終わろうとした頃
少年「僕には好きな人がいるんです」
私「そうなんですね~相手の方はどんな人ですか?」
少年「それはあなたです」
私「(;´・ω・)!?、、、、、、あ~そうですか~」と言ってラジオのスイッチをONにしました。
その後は武生付近まで無言の車内でした。
京都を出てから3時間以上が経ち夜になっていました。武生インターチェンジで高速を降りいよいよ市内へ。
そこからは少年のナビゲーションがはじまりました。
スムーズに案内をしてくれます。「そこを右」とか「そこをまっすぐ」といった具合に。
私はそこでちょっと安心しました。「これはちゃんとした目的地がある。料金も払ってくれる可能性高いかも」
そして市内の暗い入り組んだ住宅地に入ったとある一角で少年が、
「ここでいいです」
見ると前には豪邸が
少年はあとは何も言わず料金も払わず降りその豪邸の中へと消えていきました。
少年が家に入るとすぐに玄関まわりの照明がポッとつけられ中から母親らしき人が出てきました。
母親らしき人「今日はどこから?あ~京都ね」タクシーのナンバーを見てそう言いました。
私「料金は3万××××円になります。」
母親らしき人「はい、これ」すっとお金を払い何事もなかったかのように家の中へと入っていきました。
( ゚д゚ )
感謝される
運転手色々やりましたがタクシードライバーは一番お客さんとの距離が近い仕事だと思います。
車の中は密室で二人きりになることも多いです。
お客さんと会話するしないはその時の雰囲気などで自由です。
お客さんにとって重要なのは目的地まで安全にスムーズに到着することです。
もちろんそれだけできれば充分なんですが、あいさつや気持ちのいい接客、そして心のこもった丁寧な運転は喜ばれます。
お客さんのなかには足の不自由な方、病気や気分が悪くて病院へ行く方、お年寄りもけっこう多いです。そんな方たちに(もちろんどんなお客さんにも)丁寧に送り届けるととても感謝されます。
時々「これは運賃とは別に」と言ってチップをもらうこともありました(チップの扱いに会社で特に決まりはありませんでした)。
お客さんとしてタクシーに乗ると、この運転手はただアクセルとブレーキをON/OFFしてハンドルをクルクル回してるだけでお客さんのことなどなんも考えてないなって感じることないですか。僕はあります。乗車時の挨拶もしない、目も合わせない、車酔いするほど運転はめちゃくちゃ。そんな時はただ早く目的地に着いてさっさとお金払って降りたいの一心ですね。
ですが逆に気持ちのいい接客で丁寧な運転だとどうですか。安心して目的地まで車内でくつろぐことができます。「運転手さんありがとう!」って感謝の気持ちになります。
タクシードライバーはもちろん安全運転がメインの仕事ではありますが、同時にお客さんとの距離がとても近い接客業でもあります。その二つを同時にこなす難しいけど面白い仕事なんじゃないかなって思います。人から直接感謝されて好きな運転ができてある程度の自由がある仕事ってのもいいですね。
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