電動飛行機の課題と可能性 

電気飛行機の課題と可能性

電気自動車はテスラ、フォルクスワーゲン、BYD、BMWなどから一般消費者向けへ発売され価格も下がりつつあり販売台数も急増しています。

では2021年現在の電気飛行機の現状はどうなっているんでしょうか?

一人当たりが移動の際に排出する二酸化炭素の量は飛行機が一番多いといわれているならさっさと電気飛行機にすればいいのにと思いますが。

電動飛行機には二酸化炭素の排出を減らせるというメリットがある反面、すぐに実用化できない大きな課題があるようです。

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電気飛行機は現在飛んでいるの?

2021年現在、お客さんを乗せて飛ぶ旅客機や個人所有のプライベートジェット、小型飛行機で一般向けに発売されているものはありません。

ボーイング、エアバス、エンブラエル、ロールスロイス、マグニエックス、NASA、JAXAなど多くの企業が開発途中で今のところ実用化には至っていません。

2021.10.19追記

スウェーデンで小型飛行機がヨーロッパの航空当局(EASA)から型式証明(その飛行機が安全に飛ぶ基準に達していることの証明)を取得したようです。小型飛行機で二人乗りのようです。詳細は不明ですが電動なのでもちろんとても静か。50分ほど飛ぶことができるようです。今後、個人向けに発売される時期、その他の国での型式証明の取得、飛行時間の延長や飛行機の大型化など要注目ですね。

参照:日テレ24、2021.10.04記事

バッテリーの性能と重さの問題 エネルギー密度

電気飛行機が電気自動車のように実用化され普及していかない大きな理由にバッテリーの「重さ」の問題があります。

現在、電気自動車テスラのバッテリーのエネルギー密度は250Wh/kgといわれています。

それに対してガソリンのエネルギー密度は12000Wh/kg程度です。

単純比較すると250と12000。48倍の差があります。

※エネルギー密度とは、単位質量当たり取り出されるエネルギーことです。

これはエネルギー効率を無視するとガソリンと同じだけのエネルギーをバッテリーで引き出すためには48倍の重さのバッテリーが必要ということになります。※電気の方がガソリンよりもエネルギーの効率は数倍良いとされています。

例えば台北からニューヨークを旅客機のボーイングB777で飛ぶと約100トンの燃料を消費します。単純に48倍すると4800トンのバッテリーが必要ということになります。

B777の最大離陸重量は約350トンなのでとんでもない重さのバッテリーが必要になることがわかります。

またバッテリーはジェット燃料のように燃やして重量を減らすことができません。ジェット燃料の場合ならニューヨークに到着する頃には出発時よりも100トン軽くなっています。

目的地に近づくにしたがい燃料を消費することで機体全体が軽くなり遠くまで、高い高度で効率よく飛ぶことができます。

ランディングギア(車輪とそれを支える脚の部分)の強度は着陸時の重さに耐えられるだけの性能になっています。滑走路の長さも大きな飛行機が着陸時の重量で停止できるように設計されています。

たとえ重たいバッテリーを積んで飛び上がれたとしてもその重たいバッテリーという名のお荷物を目的地まで運ばないといけません。そしてとんでもない重量を支えられるだけの強力なランディングギア、とんでもない長さの滑走路が必要になってきます。

大きな飛行機を飛ばすためにはバッテリーの小型化、軽量化が必須というわけです。

その他の問題点

飛行機を電動化するにはバッテリーの重量の問題以外にも実用化するためには他にもいろいろな課題があります。

  • 高い高度飛行時の低圧下でのバッテリーの安全性、信頼性
  • モーターの強力化、軽量化
  • 機体の空力性能の向上と軽量化
  • 緊急時、故障時の対策    など

自動車のように故障したらちょっと路肩に停めてJAFを呼ぶといったことができません。

飛行機の故障はすぐに命にかかわる重大な緊急事態になってしまうことがあります。

そのため現在の飛行機にはあらかじめ複数の予備システムが備わっています。エンジン、油圧系統、電気システム、与圧・空調システムは一つが故障してももうひとつがバックアップとして機能する設計になっています。

現在の燃料を使ったシステムは長い年月をかけて信頼性、安全性がかなり高くなっています。飛行機のシステムを全て電気で動くものに変更するにはこれら全てが安全に動くことが保証されないといけません。

「バッテリーが故障したのでモーターとまります」「故障したのでエアコンとめます。ちなみに外の気温はマイナス50℃です。寒いですがガマンしてください」

こんな感じでは安心して家族でハワイ旅行に行くことはできません。

電気飛行機 実用化の可能性はあるのか?

すでに数人乗りの小型飛行機での実験は成功しています。

参考:BBC future planet 2020.6.18記事”The largest electric plane ever to fly”

比較的低い高度で近距離を飛ぶ軽量な数人~十数人乗り程度の小型電動飛行機(空飛ぶクルマ、人が乗れるドローンを含めて)は近い将来実用化される可能性が高いです。

参考:乗り物ニュース2021.714記事「電気飛行機」一挙100機導入へ 2026年登場か ユナイテッド航空

また最近ではホンダが電気とタービンエンジンのハイブリット飛行機、Honda eVTOL(電動垂直離着陸機)の開発を発表しました。

参考:くるまのニュース2021.9.30記事「ホンダが「空飛ぶクルマ」の量産に挑戦! 「ホンダeVTOL」実用化の可能性が「期待大」といえる訳」

重要な課題はやはりバッテリーの性能の向上と軽量化です。ボーイングやJAXAの見解では高い高度を高速で長距離飛ぶ大型の旅客機が電気の力のみで飛ぶのは数十年先、2050年頃になるのではとの見方を示しています。

100%電気の電動旅客機が登場するまでの数十年は二酸化炭素排出抑制の観点から既存のエンジンをバイオ燃料にしたり、電気と燃料の両方を使うハイブリッド飛行機のほうが先に登場することになりそうです。

バイオジェット燃料の課題と可能性 ↓↓

参考:CNBC “Why don’t we have electric planes yet?

参考:乗り物ニュース2021.6.14記事 ヴァージンアトランティック航空、アメリカン航空eVTOL機発注

参考:乗り物ニュース2021.6.05記事 エンブラエル子会社電動飛行機200機契約納入2026年

参考:乗り物ニュース2021.6.18記事 中国製電動飛行機「EH216」岡山で無人飛行に成功

まとめ

電気飛行機はバッテリーの重さが問題になり最初は小型飛行機(空飛ぶクルマや有人ドローンも含めて)から実用化されます。

その後、バッテリーの性能の向上と軽量化、安全性信頼性の保証、モーターの改善、機体自体の性能や軽量化、故障時・緊急時の対策などの課題が徐々に解決し大型の飛行機も数十年かけて実用化されていきます。小型機も大型機も課題が解決し普及が始まると一気に広がる可能性はあると考えます。

今から20年前にこんなにスマホが普及するなんて思ってもいませんでしたよね。

そんな感じで数十年後の未来は「え!?飛行機にそんな危険な爆発するかもしれない液体を積んで飛んでたの?!」てなふうになるかもしれません。

未来はどうなっているんでしょうか空想するだけでも楽しみですね。

参考:JAXA航空技術部門 電動航空機

参考:「電気飛行機」は将来的に実用化されるのか? – GIGAZINE

参考:JBpress 電動化を目指す大型旅客機、その利点とは

参考:世界経済フォーラム ニュージーランドに初めて導入される電動航空機と、電動飛行を取り巻く現状

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