水上飛行機の免許を取得するにはどうすればいいのでしょうか。どこで取れるのか、費用はいくらくらいかかるのか、これから水上飛行機の免許をとろうと考えている人、興味がある人のために取り方をまとめました。
免許はどこで取れるのか
残念ながら2023年2月現在日本で水上飛行機(飛行艇)の免許を個人がとれるフライトスクールなどはありません。(もしあったら教えていただければ嬉しいです)
比較的水上飛行機の免許取得ができるフライトスクールが多いのはカナダとアメリカです。
日本で自家用の水上飛行機を飛ばそうと考えている場合は海外で免許を取りそれを日本の免許に書き換える必要があります。すでに日本の自家用操縦士以上の免許をお持ちの場合はそれに水上飛行機の限定事項を書き加えることになります。
飛行機の免許をなにも持っていない方は陸上機(車輪がついていて滑走路から離着陸するタイプ)の自家用操縦士免許取得から始めるのが一般的です。
型式限定が必要な飛行機(タービンエンジンで操縦に二人必要な場合など)の場合は日本で実地試験が必要です。(詳しくは国土交通省航空局まで)
ここではカナダで水上飛行機の免許取得する例をご紹介します。
水上飛行機と飛行艇の違い —–> 水上機には機体の下にフロートが付いたタイプと胴体自体が水面につくタイプの2通りがあります。全てのタイプの水上機の総称を「水上飛行機」または「水上機」と呼びます。胴体が水面につくタイプは「飛行艇」とよばれます。 →水上飛行機とは
最低限必要な免許
カナダで水上機の免許を取る場合は最低限以下のいずれかの免許を持っている必要があります。
- リクリエーションパイロット許可
- 自家用操縦士またはそれ以上(事業用操縦士、定期運送用操縦士)
もちろんカナダの有効な航空身体検査証も必要です。
どんな訓練をするのか
水上飛行機の免許を取るためには最低限やらなければならないことがカナダの航空局(Transport Canada)によって以下のように決められています。
- 7時間の水上飛行機での飛行時間
- 7時間の内5時間は教官同乗での訓練
- 5回の単独フライトでの離着水の経験(操縦に二人必要な飛行機の場合は機長として)
教官同乗のトレーニングには以下の事が含まれます
- 水上での移動(taxiing, sailing)
- 離着岸(docking)
- 離着水(take-off, landing)
- 波が荒い時の水上移動
- 横風での離着水
参照:Transport Canada standard 421.38
参照:Transport Canada Instructor Guide Seaplane Rating
以上のトレーニングを修了したうえで認定された試験官とのフライトで必要なスキルが証明されると水上飛行機の免許(カナダの場合はseaplane rating)がもらえます。
セスナ185水上機を飛ばすテクニック紹介動画↓(AOPALive)
料金はいくら位かかるのか
フライトスクール、使用機材などによって違います。セスナC180クラスの飛行機使用で大体CAD$3000~5000(¥30万~¥50万)位です。
これプラス往復の交通費、航空身体検査費用、現地での宿泊費・食費などが必要になってきます。
水上飛行機の免許が取れるフライトスクール
カナダ、ブリティッシュコロンビア州にある水上飛行機の免許(Seaplane Rating)がとれるフライトスクールをいくつかご紹介します。
Island Coastal Aviation
ピットメドウズ空港(Pitt Meadows Airport CYPK)にあるフライトスクール。水上飛行機以外の陸上機での自家用操縦士免許(PPL)、事業用操縦士免許(CPL)、計器飛行証明、多発機限定などのトレーニングも行っています。保有機材はセスナ172、セスナ152、セスナ150、パイパー・セネカ
→Island Coastal Aviation Flight School – Learn To Fly With Us!
Fort Langley Air
こちらもピットメドウズ空港(Pitt Meadows Airport CYPK)にある水上飛行機専門のフライトスクール。保有機材はセスナ180
Pacific Seaplanes
バンクーバー島付近の空港を結ぶ水上飛行機の航空会社。フライトスクールはケネルレイク(CBQ9)にあります。訓練用の保有機材はセスナ180。上級者用訓練機として双発機Beech18、Piper Nomadも使用することができます。
→Pacific Seaplanes – We Fly There!
Ocean Air Float Planes
バンクーバー島、ビクトリア空港(Victoria International Airport CYYJ)近くのPatricia Bayにある水上飛行機のチャーター、観光、フライトトレーニングを行う会社。使用機材はセスナ180。
→Ocean Air Floatplanes – Floatplane / Seaplane Charters, Tours and Training
まとめ
水上飛行機の免許を取るには現在のところ海外に行って取るしかないようです。
すでに自家用操縦士の免許などを持っている方は数時間の訓練で取ることができます。
飛行機の操縦免許をなにも持っていない場合はゼロからのスタートになりますのでかなりの時間と金額がかかります(まずは自家用飛行機の操縦士免許を水上機ではない陸上機で始めるのが金額的にも時間的にも現実的です)。
海外に取りに行く前には必ず最新の情報を現地の航空局、フライトスクール、日本の航空局にも確認して効率よく免許を取ることをお勧めします。